親の声かけは、子どもの自己肯定感や考え方・行動に大きな影響を与えると言われています。普段行っている声かけを少し言い換えるだけでも、より子どもに自信を持たせ、自分で考えて行動できる人間へと導くことができます。今回は、子どもへの効果的な声かけや言い換えについて、日常で使える3つの例をご紹介します。
否定表現「~しないで」は肯定表現「~しよう」に言い換える
「~しないで」という否定的な表現の代わりに、「~しよう」という肯定的な表現を使うようにしましょう。例えば「走らないで」は「歩こう」、「失敗しないで」は「上手にやろう、成功させよう」に言い換えられます。
人は「~しないで」と後から打ち消されても、最初に聞いたことばをイメージしてしまいます。「失敗しないで」と言われれば、「失敗する」イメージが浮かんでしまうのです。失敗ということばを思い浮かべながら、成功を目指すのは遠回りに感じますよね。ぜひ「成功させよう」「成功するよ」と言ってあげてください。
また、子どもを心配する気持ちから言いがちな「危ないところに行かないで」は、「安全な場所を選ぼう」などに変換するといいでしょう。
「がんばって」は「いつも通り」に言い換える
子どもを応援する気持ちで言う「がんばって」。場合によっては子どもを緊張させてしまう、注意が必要なことばでもあります。がんばれと言われると、子どもは「失敗してはいけない」とプレッシャーを感じかねません。「今のあなたでは不十分である」というメッセージとして伝わってしまう危険性もあります。
「がんばって」に代わる声かけとしておすすめなのが、「いつも通りにやればいいんだよ」です。例えば、ピアノの演奏会の当日。場所は舞台上になっても、ピアノを弾くという意味では練習と同じだと言えます。「特別ではない、やることはいつもと変わりない」と子どもが感じられれば、よりリラックスして本番に臨めるはずです。
子どもを認める3つの「承認」と声かけ
最後に子どもを認め、自己肯定感を高める「承認のことば」についてお伝えします。実は、子どもの承認には3種類あり、それぞれに効果的な声かけがあるとご存じでしたか。
ひとつめは「結果」の承認です。ことばとしては「合格してすごいね」「上手に食べられたね」「ひとりでできたんだ!」などが挙げられます。私たち親にとっても分かりやすい声かけだと言えますね。あまり意識しなくても、日常的に行えているのではないでしょうか。
ふたつめは、「プロセス」の承認。「毎日、一生懸命練習しているね」「お手伝いをたくさんするようになったね」「丁寧に字を書いているね」といった声かけをしましょう。これらは、良い行動を承認することばなので、上手くいかなかった場合や、まだ結果が出ていない場合にも言えます。
みっつめが「存在」の承認です。結果を出さなくても、なにかに取り組まなくても、ありのままの存在を認めることを指します。子どもの存在を承認する効果的な声かけは、特別なものではありません。挨拶をする、「今日は寒いね」「体調はどう?」など、日常で子どもにかけることばによって伝えられます。
また、ことばだけではなく、子どもの話を聴く、一緒に食事をするなどの行為も、存在の承認になります。私たちが毎日当たり前に行っていることが、子どもの自己肯定感を育てているのです。上手にことばにできなくても、ご自身に自信を持っていただけると嬉しいです。
まとめ
親が使うことばは、子どもに大きな影響を与えます。否定的なことばばかり使う親の元で育つ子どもは、ネガティブな思考や言動が増えることは明らかですよね。肯定的な声かけをたくさんされて育つと、子どもはセルフイメージを向上させ、前向きな考え方や行動をするようになります。
もちろん「~しないで」「がんばって」ということばを全く使ってはいけないわけではありません。少しずつでもお伝えしたような表現に言い換え、声かけのバリエーションを増やしていきましょう。