夏休みですね!普段より子どもたちと触れあえる楽しみがある反面、24時間一緒に過ごす分、感じるストレスも大きくなります。夏休みのイライラを軽減するための考え方や、子どもたちとのコミュニケーションの取り方をご紹介します。
目次
「約束を守らない!」のは大人のせい?ルール・約束は「子どもと一緒に決める」
早寝早起きを約束したのに、なかなか起きてこない。勉強の時間を決めたのにルールを守らない…。夏休みの始めに決めたはずのルールや約束を、子どもが守ってくれないとイライラしますよね。
子どもが約束を守れない原因は、もしかしたら「約束・ルールの決め方」にあるのかもしれません。なかなか気づきにくいのですが、私たち大人は自分が作ったルールを「約束だよ」ということばを使って、子どもに伝えていることがあります。例えば「毎朝9時から宿題できるかな?約束ね!」といったように。この場合、子どもは「分かった」と言っていても、本心では同意していないことがあります。
大人は「親子で約束をした」つもりでいても、子どもからすると「約束」ということばで「親が決めたことを与えられただけ」になっている可能性があるのです。一方的に与えられたルールを積極的に守ろうという気持ちには、なかなかなれませんよね。
それを避けるためには「夏休みの約束やルールは子どもと一緒に決める」のが大切です。子どもからは、「毎日夜更かししたい!」など採用できない希望も出てきます。当然、それらをすべて受け入れる必要はありません。しかし、多少内容や時間が前後しても構わないもの、例えば宿題の開始時間や休憩時間の過ごし方などは、子どもの意見を取り入れてあげられるといいでしょう。
子どもにとって大切なのは「自分の思い通りになるか」ではなく、「ルール決めに自分が参加した」「親が自分の話を聞いてくれた」という満足感や納得感です。自分が決めたという気持ちが責任感につながり、ルールや予定を守る姿勢を作っていきます。
「子どもが約束を守らない!」と思ったら、一度「親が決めたルールを与えただけになっていないか?」考えてみましょう。その上で、子どもと一緒に夏休みのルールの見直しができるといいですね。
栄養が大事?会話が大事?終わらない「ごはん作り」は「その食事で大切にしたいこと」を見つけてストレスを減らす
給食がない夏休みは、毎日3食用意する必要があります。それがお母さんたちのストレスとなることは、言うまでもありません。まじめなお母さんほど「栄養が偏るのではないか」「子どもが好むものを作ってあげたい」「一緒に食卓に着いて、話を聞いてあげなければいけない」と考え、毎回の食事が心身の大きな負担になってしまいます。そして、ごはんのことばかり考えてイライラ、用意しても食べない子どもにイライラ、イライラする自分に自己嫌悪…と、負のサイクルに入りかねません。
終わらない夏休みのごはんづくりに関しては、こんなふうに考えてみるのはどうでしょうか。
「今回の食事で、わたしが一番優先したいこと・大切にしたいことはなんだろう?」
空腹を満たす、栄養を摂る、楽しく食べる…、なにかしらが大切にしたいことが浮かぶはずです。その、こころに浮かんできたことを「ゴール」にしてごはんを作ります。「とりあえず食べさせなければ…」というときは、そうめんでOK。「不足している野菜を摂りたい」なら、食卓に野菜が出せれば合格、と叶えやすいゴールを決めて、ごはん作りのハードルを下げましょう。
そうめんだけ、切ったり茹でたりした野菜だけで大丈夫?と思われるかもしれません。しかし、考えてみれば夏場の暑いキッチンに立ち続けること、さらに火を使って調理をすることは、大変なことですよね。それができているだけでも、お母さんたちは十分にすごいです。もちろん、レトルトやインスタント食品を使ってもかまいません。「子どもとの会話に全力を注ぐ食事」があるのもすてきです。
疲れた日の食事の方法として、わたしがおすすめしたいのが「映画館ごっこ」です。料理をする気力もない、子どもの話をじっくり聞いてあげられる余裕もない……。そんな日は「自分も子どもも気楽なごはんタイム」を目標に。テレビの前のソファに子どもと並んで、映画を観ながらごはんを食べます。「映画館ごっこ」なので手の込んだ料理より、ジャンクな食べ物のほうが雰囲気が出ます。冷凍食品のピザやポテトを並べて、ジュースも用意すれば完璧です!
映画に集中している間は、子どもは比較的静かなので、自分もしゃべらずに済みます。また、同じ映画を観ているから、話していなくても一緒のことをしているという一体感も保てます。子どもが楽しんだりリラックスしたりしている姿を見ると、不思議と手抜きをしたという罪悪感も湧いてきません。
毎食、栄養バランスも彩りもよく、子どもが好むものを、会話を楽しみながら食べられたら理想ですが、なかなか難しいのが現実です。そのとき、その食事で、「なにを優先したいか」を決めて、それができれば良しとしましょう。さらに、食事のバランスは一食毎ではなく一週間、または夏休みトータルで取れればいい、と力を抜けるといいですね。
「宿題しなさい!」はNG⁉「どれくらい進んだ?」と聞いてみよう
夏休み中、言いたくないけど言ってしまうことばの代表が「宿題しなさい」ではないでしょうか。このことば、当然子どもは言われたくないですし、親だって本当は言いたくないはずです。親にとっても子どもにとってもイライラの原因となる「宿題しなさい」は、なるべく言わないようにしましょう。とはいえ、親として「宿題の進み」は気になるもの。子どもの年齢にもよりますが、「全て子どもにお任せ」というわけにはいかないこともあります。
そんなときは「宿題しなさい」ではなく、「宿題はどれくらい進んだ?」と声をかけてみてください。「全然進んでない」と返ってくるかもしれませんが、大丈夫です。それ以上の追求はしなくても、私たち母親の「あなたの宿題の進みを気にかけている」という気持ちは伝わっているので安心してください。
「どれくらい進んだ?」の声かけは、「誰かに言われなくても、あなたは自分で進めていると信じているよ」という子どもへのメッセージにもなります。子どもは親から信頼されていると感じ、宿題だけではなく、いろいろなことに積極的に取り組もうという気持ちになっていきます。
わたし自身がこの声かけをするようになって、最初に感じたのが「子どもに反抗的なリアクションが起こりにくい」ということでした。「宿題しなさい」と言うと、子どもから「分かってる!」「うるさいなぁ」と返ってくる。それに対して「その言い方はなに?」とさらに腹が立って言い合いになる…、ということが起こりにくくなりました。それだけでも、イライラやストレスは減ります。また、続けるうちに「親と勉強の話をするのはイヤなことではない」と感じてくれたのか、読書感想文の本が決まらなくて困っている、算数で分からないところがある、理科の宿題は終わった!など、子どもから宿題の話をしてくれるように。こちらから聞かなくても、宿題の進み具合を把握しやすくなりました。
まとめ
今回ご紹介した方法で、全ての夏休みのストレスが、すぐになくなるわけではありません。しかし、徐々にでもお母さん自身や、子どもの気持ちのゆとりは増えていき、安心と信頼関係に繋がっていきます。長く感じる夏休みですが、何年も続く子育て期間のほんの一部。ときどきイライラしても、子どもはお母さんが大好きです。初めからうまくいかなくてもかまいません。できるところから、考え方やコミュニケーションを変えていきましょう。